中耳炎の症状と原因

80%以上の子供が3歳までに、一度は中耳炎にかかると言われている中耳炎。子供の頃、夜中に突然激しい耳の痛みと熱でつらい思いをしたことがある人も多いのではないでしょうか。中耳炎の症状、原因、治療方法をご紹介します。

 

こんな症状なら、中耳炎かも

●乳幼児の場合
耳かゆいまだ言葉を話せない赤ちゃんに下記の様子が見られた場合は、急性中耳炎になっている可能性が高いです。
・よく耳を触る
・首を振る
・急に泣き出す
・熱がある

●言葉を話せる子供
突然「耳が痛い」と言って、下記症状を訴えるようであれば、急性中耳炎を疑いましょう。
・耳の痛みを訴える
・耳が詰まった感じがする
・聞こえづらい
・熱がある

中耳炎とは

耳
耳の奥にある鼓膜の近くに「中耳」という部屋があります。この中耳に細菌やウイルスが入ることで、炎症が起きて膿がたまる病気が中耳炎です。ほとんどの場合は、膿がたまって鼓膜を圧迫し、鼓膜に穴が空いてそこから膿が出てきます。
 

中耳炎の原因は?

●細菌やウィルスの耳に入るから
中耳炎は鼻やのどから、肺炎球菌・インフルエンザ菌・ウイルスなどが耳に侵入することで発症します。
細菌が耳に入るといっても、耳の外からではなく、鼻の奥から入ってきます。耳と鼻の奥は「耳管」という管でつながっています。子供が中耳炎になりやすいのは、大人に比べて、この耳管を通して鼻からの細菌が耳に入りやすい形をしているからです。
成長途中の子供は、耳管が太くて短いため、鼻の細菌やウィルスが耳まですぐ到達します。また、耳と鼻の高さがほとんど同じで角度が水平に近いため、細菌やウィルスが耳に流れやすい構造になっています。

●風邪を引くから
中耳炎の主な原因は、風邪です。免疫がまだできていない子供は風邪を引きやすく、出た鼻水をかむことができません。風邪を引いて細菌感染を起こすと、黄色い鼻水がたまり、咳やくしゃみなどによってこの鼻水が耳管を通って耳に入ります。風邪を引いたときは中耳炎にならないように、鼻をこまめに吸って予防しましょう。

●プールが原因ではない
プールやお風呂の水が耳に入って中耳炎になることは、鼓膜に穴が空いていない限り考えにくいです。耳に水が入って痛くなる場合は中耳炎ではなく、外耳炎による可能性が高いです。ただし、悪化の原因になる可能性はあるので、中耳炎がまだ完治していない状態でプールに入るかは、医師の指示に従いましょう。

中耳炎の種類・症状・治療方法

中耳炎には大きく分けて急性中耳炎と滲出中耳炎の2種類があります。それぞれの症状や治療方法をご紹介します。

●急性中耳炎
特徴
・急性中耳炎は特に生後6ヶ月~3歳くらいまでの子供に多く、一番の原因は風邪です。

症状
・耳の激しい痛み(1~3日)
・発熱
・耳だれ(耳から膿が外に流れ出てくる症状)

治療
・痛みを止める
耳に激しい痛みが出るので、耳鼻科で処方された痛み止めを飲ませましょう。もし夜中に症状が出た場合は、耳の下や耳の後ろを冷やすことで、炎症が少し落ち着いて痛みが和らぎます。翌朝早めに病院に行って、痛み止めを処方してもらいましょう。

抗生物質
・薬を飲む
炎症の原因となっている細菌の増殖を抑えるために、抗生物質を出されます。また、細菌が原因ではない場合は抗生物質が効かないため、外耳道から空気を送る

・耳垂れ外側だけを拭く
膿が溜まって外に流れ出ている場合は、ガーゼなどでやさしく拭き取ってあげましょう。あくまで、外に流れ出たものを拭くだけで、耳の中は触らないで耳鼻科で吸引してもらいましょう。耳の中を触って傷つけてしまうと、外耳炎を引き起こす原因になります。

・上半身を起こす
上半身を起こして座らせましょう。上半身を起こすと、鼻の通りがよくなって耳管から膿が排出されやすくなります。

・鼻水をかむ・吸う
耳に細菌やウィルスが侵入した原因にもなっている、鼻水は排出しましょう。鼻をかめる子供であれば、しっかり左右交互に鼻をかませましょう。まだ上手にかめない子は鼻水を吸引してもらうことで中耳炎が早く治ります。耳鼻科や小児科で吸引処置をしてもらいましょう。また、病院だけでなく、自宅でも鼻吸い器で吸引してあげると中耳炎の早期回復や症状の悪化を予防できます。
鼻吸い器選びには、こちらの記事「口コミでおすすめの鼻吸い器ランキング」をご覧ください。

●滲出(しんしゅつ)性中耳炎
特徴
急性中耳炎が十分に治りきらずに、鼓膜の内側にうみ(滲出液と呼ばれる体液)が残ってしまう場合を滲出性中耳炎と呼びます。

症状
・難聴(呼びかけても反応がない時がある、言葉の発達が遅い)
・耳が詰まっている感覚がある
・耳をよく触る
急性中耳炎と違って、「つよい痛み」や「発熱を伴わない」のが特徴です。難聴が唯一の症状であることも多く、程度によって気づくのが遅れてしまうこともあります。急性中耳炎のあと、「近頃、機嫌が悪い」「しきりに耳に手をやる」などといったしぐさや様子が見られたら、滲出性中耳炎を疑ってみてもいいかもしれません。

治療
・完治するまで治療を続ける
耳の痛みや熱が治まったからと言って、完治している訳ではありません。中耳の膿が完全になくなるには、1~3ヶ月かかります。自己判断で治療を途中で中止せず、膿がなくなって耳の聞こえが元通りになるまでは、耳鼻科の先生の指示に従って最後まで治療しましょう。膿が残ったままにしておくと、再発の原因になります。

・耳管から空気を送る
耳鼻科では、中耳に溜まった滲出液の排出を促すため、耳管から空気を送る処置が行われます。

・鼻水を吸う・かむ
鼻がかめる子供はこまめに鼻をかませて、まだ上手にかめない子はこまめに鼻水を吸引しましょう。鼻をすすっていたり、鼻水が垂れたまま放置しておくと、悪化の原因になります。詰まっている鼻水を吸って鼻の通りがよくなると、膿が抜ける道ができるので、治りが早くなります。

●慢性中耳炎
特徴
急性中耳炎や滲出性中耳炎が治らずに、鼓膜や骨の炎症が長引いて繰り返す状態が慢性中耳炎です。細菌感染が続いたり、体の抵抗力が弱った炎症が治りにくいことなどが原因で起こります。

症状
・難聴
・耳だれ(耳から膿が外に流れ出てくる症状)
・めまい
・耳鳴り
・炎症部分を繊維組織が覆った肉芽(にくげ)
・鼓膜の表面の細胞が増殖した真珠腫(しんじゅしゅ)というかたまり

治療
・耳だれの処置
病院で耳垂れを吸引したり、点耳薬を使って耳だれを止めます。

・手術
耳だれの処置をしても治らない場合は、根本の原因となっている箇所を手術することがあります。鼓膜を閉鎖したり、炎症を取り除く手術が行われます。

中耳炎の予防方法

●風邪を予防
中耳炎のそもそもの原因は風邪なので、一番の予防は風邪を引かないことです。急おでかけから帰ってきたら、こまめにうがい・手洗いを行い、マスクをつけたり、風邪のシーズン中はなるべく人混みを避けましょう。

●鼻水をこまめにかむ・吸う
特に保育園や学校に通っていると、いくら予防しても風邪をもらってしまいます。もし風邪にかかってしまった場合は、鼻水をためないよう、こまめに鼻水を排出しましょう。

鼻を上手にかめる子供
片鼻ずつ数秒かけてゆっくりかませましょう。勢いよくかむと、細菌が耳管を通って中耳炎になる原因となります。

まだ上手にかめない子供
鼻吸い器で、こまめに吸引しましょう。今は耳鼻科にいかなくても、メルシーポットスマイルキュートをはじめとする家庭で吸引できる電動鼻吸い器も出ているので、自分に合ったものを見つけて、こまめに吸引しましょう。